ツギハギ人間
ここ数日マジェルカには新しい商品がぞくぞくと入荷しています。
そのうちの一つがこの革製のキーホルダー。
ツギハギのヒト型と
ドロップ型
作ってくれたのは東京の西側、東大和市にある「第二あとりえトントン」さん。
つい先日webショップにアップしたこのバッグ用グリップを作ってくれている作業所です。
ドロップ型
作ってくれたのは東京の西側、東大和市にある「第二あとりえトントン」さん。
つい先日webショップにアップしたこのバッグ用グリップを作ってくれている作業所です。
バッググリップ同様に今回のキーホルダーもマジェルカが提案した商品です?
いつ頃だったでしょうか、こちらの担当Nさんがマジェルカに現れて「私たちはこういうモノ
作ってるんですけど…」と。
その時見せられた唐草模様などの型押しと染めを施された革の財布やキーホルダーなどを前
にして
「なんか刑務所製品みたい」
だとか
「新橋駅前でワゴンで売ってそう」
とか
我ながらデリカシーの無い事をつい言ってしまったのを覚えています。
別に刑務所製品や新橋ワゴンが悪いというわけではないですが、ウチに置くにはテイストが
ちょっと違うっていう意味でした。
確か、その頃施設に届いた冊子か何かにマジェルカの事が載っているのを見て知って来られた
ということだったような。
そして、モノを売りに飛び込み訪問なんて初めてだったとの事。
はじめはなんだか怒っているようにも見えたのですが(笑)、少し緊張されていたのでしょうね。
はじめはなんだか怒っているようにも見えたのですが(笑)、少し緊張されていたのでしょうね。
そんな相手に先のセリフ・・・
Nさん、そんなのにもめげません。
骨があります。
なにはともあれその後あれこれお話し。
マジェルカの商品バリエーションに革のアイテムがなかったのも事実。
持ち込まれたそれそのモノをそのまま置く事は出来ないにしても、見れば作りはきちんと
丁寧にされているので他にも色んなことが出来そう、そしてなによりもやる気と思いがある。
その後数日して試しに「こんなの出来る?」っていう連絡にもレスポンスのいい対応。
それからは「こんなの作ってみたんですけど。」みたいなのもあったりちょくちょくと
それからは「こんなの作ってみたんですけど。」みたいなのもあったりちょくちょくと
マジェルカに顔を出してくれるように。
そんな中で一つ提案して出来たのが上のバッググリップでした。
型押しで一つ一つ時間かけて作っていた従来のモノに比べて同じ時間をかけても
数倍の数が作れます。
販売価格もそう変わらない。
そして小さいながらマジェルカという販路が一つ付いている。
“一つ”というのは私は、こちらが企画&提案した製品だからといって完全にマジェルカ
のオリジナル製品扱いにして、作った施設さんがウチ以外で売ってはダメという風には
しません。
むしろ自分達でも積極的に売って下さいとお伝えします。
今まで他にもいくつかの施設さんに提案してきたモノも全てそうしています。
何故なら一つには、今までとは異なる製品を自分達で売ってお客さんのリアクションを
直接見る事、そしてその中で自分たちなりに試行錯誤する事で得られるコトが色々ある
と思っているから。
そしてそういう経験によって得る感覚は今後のモノ作りに何かしら役に立つと思っている。
又、パートナーである施設さんがそうやって(生意気な言い方ですが)成長してくれる事
は長い目で見てマジェルカにとってもメリットであるから。
これはこれでホントの思い。
ただ、これだけ書くと「マジェルかさんってばナンテいい人♡」
と思われそう。
思って頂くのは自由です。
むしろウェルカムです!
しかし!
そんなカワイイ奴じゃないのがワタシです。
施設さんに対して丁寧にも販路付き(しかも買取り)の自主製品開発をするという事に
対しては、そこに正直いろんなジレンマを抱えていたのも事実。
これって本来は仕事としてみなされるモノじゃないの?
時には店頭で1時間以上もやり取り(打ち合わせ)
それ以外の時間を使って調べたり制作したりの作業
店で並べてお客さんの反応を見ながら改良
本来は仕事です。
以前はそんな仕事でお給料を貰っていた事もあります。
でもこの世界ではそれをやっても感謝されますがお給料は貰えません。
むしろ自営業ですから時間のある限り他にやる事はいくらでもある中でそれを削って
それらの時間に当てています。
世の中ではそれを助成金とか貰いながらやっている人や団体がある一方でです。
しかも前々回の話にもなりますが「作る」はやっても「売る」部分、しかも継続性も
見据えてとなるとその中のどれだけがそのように関わっているのでしょう・・・
そんな中でマジェルカはリアルに「売る」までイメージしてそして実践して「作る」と
いう事に携わっています。
少しは威張ってもいいですか?
あ、はい、威張るのはやめときます。
でもちょっとは自信をもってやっています。
それはいいですよね。
違う見方をすれば私が店に欲しい商品を作ってもらってそれを販売して利益を得ている
んだからそんな言い分はおかしいでしょって言われるかもしれない。
そういう見方があるってコトも理解して、そして献身的なイメージが強い(の?)
福祉業界の中で活動していてあえて述べます、言わせて頂きます、と前置きしておいて・・・と
出来た商品を店で売ったって実際の所の利益なんてたかが知れています。
そしてこちらから注文してそれをただ作ってもらうってだけのただの取引関係なら別です。
でも、向こうから相談に来られたりと、相手の施設さんにとっても必要にかられている事柄
なんですよ。
そしてその背景には行政の政策による工賃向上というミッションを抱えた施設さん達。
ウチが例えばどっかの役所の障害福祉課・工賃向上推進係みたいなモン
(そんなのたぶんありませんが)だったら余計な疑問も持たずにむっちゃ職務に邁進しますよ!
ウチが例えば福祉作業所の授産活動を支援するために存在するどっかのNPOとかだったら
相談に来た施設さんに「新橋のワゴンみたい(-。-)y-゜゜゜」なんて感じ悪い対応しないで
にこやかに爽やかに軽やかにスピーディーに対応しますよ!
でもそうじゃないもん・・・
頼って来てくれる施設の方々。
そんな施設のモノ作りに色んな可能性を感じているワタシ。
でもそれぞれに深く関わるには様々な点から限界もある。
彼ら自身では手におえない部分にもっと自分が関わればきっともう少し良くなるだろうに、
とわかっていながらそこまで関わり切れないまま横目で見てるだけとか、たまには可能な
範囲でだけ余計なお世話で・・・というケースもままあります。
あぁ、もったいない・・・
でも仕事としてそこに注ぐ労力に対して対価が発生しないと現実問題やれる範囲には
限界があります。
そんな事ばっかりやってたらマジェルカ自体の継続性も危ぶまれます。
仕事としてというのはそういう事です。
他でガッポリ稼いでるからそこは全然いいよ♪OKだよ♪って言えればとっても素敵ですが、
残念ながら私の場合はそうもいきません。
もし仮にそうだとしても仕事として関わるのと、ボランティアとして関わるのでは本気度は
変わるかもしれません。
なんかこんな話を長々とするつもりじゃなかったのでした・・・
そうです、第二あとりえトントンさんのお話。
Nさん、何度もマジェルカに来るうちに緊張していたあの頃の様子なんてどこへやら、
基本やたら元気で、バーンとかガーンとか擬音語使うのが多いお姉さんです。
(この間もいい年して「車でブーンって行けば・・・」とか素で言ってました)
バッググリップを作ってからしばらくして私はちょっと気になっていたことを彼女へ尋ね
ました。
それは、バッググリップってのはとてもシンプルで、今までの型押し製品のように自分で
選んで模様をつけるといった創造的な作業工程が無いこと、また、従来の製品に比べて
単純な工程を数こなすというモノ作りに対してメンバーさんは一体どの様に感じているのか
もしかしたら
単なるこちらからの押し付けになってはいないのか、という点でした。
その答えは、確かに今までとは異なるストレスを感じているのは事実だけど、それは慣れて
いないからであったり、納期に追われるなどの部分はスタッフが見ながら他作業も織り交ぜ
ながら調整できるという事。
今までやっていたのとは違うモノ作りに関しては、メンバーさんが今までは今までやって
いたようなモノづくりしかしてはいけないんだと思っていた。
そして、そうではなく新たなモノ作りにTRY出来ることで新たな自分の発見が出来た。
それから、自分が作ったモノが売れる(マジェルカに、又、マジェルカからお客様の手に)
という事が嬉しい。と
ちょうど新年会だか忘年会だかでそういうお話がメンバーさんから出たそうです。
それを聞いたNさん感動。
そしてNさん自身の口からも
「今まででこの仕事をやっていて一番楽しいしやりがいがある」と。
それを聞いたワタシ感動。
それだけでも私は関わってきた甲斐があると思っているんですが、Nさんが施設長のIさんと
一緒にマジェルカに改めて訪れて来てくれて、今年からはトントンさんのモノ作りに
仕事として関わって欲しいという事になりました。
月に1回から2回、いつも訪れると図々しくも1時間以上、たまに2時間近く話し込んで
いくNさんでしたが、さすがに後ろめたいとも思っていたようです。
仕事として関わってもらえた方がトントンさんとしても気兼ねがないとの事でもありました。
こちらもその方が変なジレンマを抱えないでお付き合い出来るので気楽です♪
とこんなお付き合いが始まった中で今回一緒に作った新たな商品が冒頭のキーホルダー。
端革を使って何か出来ないかというトントンさん、状差しとか持ってきたのですが、
その場であれこれ話しながら私が描いた変な絵がそのまんま忠実に形になって出来ました。
試作が出来た時は現場でみんなの笑い声が上がったとか。
後ろはしなやかな革であえてプリプリ感を重視。ここ重要。
かわいいチャームはNさんのアイデア。
シリアルナンバー付けるのにもちょうど良い。
何度かの作り直しを経てまずは初回の分を納品してもらいましたが、実物を並べてみると
箱があった方が絶対良いと言う再提案で今度は箱づくり。
箱の納品を待って店頭に並べてみる事に。
先日トントンさんの地元の東大和市役所で市内施設の製品販売会があったので顔を出してきた
のですが、このキーホルダーたちの売れ行きは上々の様子。
それに加えて以前に提案したバッグも三日間で三点だったか完売したそう。
一万円以上の製品がそんなペースで売れるってのはかつて無かったと驚いていました。
さて、Nさん、メンバーさんがお忍びでマジェルカに行こうとしているという情報をキャッチ!
ウチに来て自分達の作ったモノが並んでなくてガッカリさせてはいけないと、所長と一緒に
馴れない為に6時間近くも掛けて展示用の箱作りをする羽目に!
メンバーさん思いな素敵なNさんと素敵な所長♡
お蔭でズラッと並びました。
面白いでしょ?
面白いでしょ?
この箱がちょっとミソで、展示するときに斜めに起こせるように設計しています。
今日で並べて3日目、そんなに安い値段付けてるつもりではないので飛ぶようにって
わけにはいきませんが、もう既にヒト型もシズク型も4つずつ売れてしまいました。
そう、トントンのメンバーさん、遊びに来て下さいましたよ。
入って来て展示されているこれらのキーホルダーを見て「わーっ!」って歓声
お買い物もしてくれました。
ご自分達が作ったキーホルダーを「これ私が作ったんです!」って買ってくれました(笑)
他の施設でもマジェルカに来てくれる当事者の方達の多くが自分で作ったモノをわざわざ
マジェルカで買ってくれんです。
自分の施設で直接買えば安いのにねぇ・・・
これってナンなんでしょ?(笑)
第二あとりえトントンさんのキーホルダー、webショップにもアップしてますので是非!